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地域猫活動への対応と地域共生に向けた施策について
飼い主のいない猫、いわゆる野良猫をめぐる問題は全国的にも表面化しており、美作市でも住民からの相談や苦情が寄せられるなど、地域の暮らしに関わる問題として深刻化しています。
中でも、住民の合意のもとで不妊・去勢手術を施し、地域で見守りながら共生している猫たちは「地域猫」と呼ばれています。これは、野良猫を地域ぐるみで適切に管理し、その命を一代限りとしながら見守る取り組みです。
私が暮らす地域でも、最初は数匹だった野良猫が急速に繁殖し、大の猫好きである私も、増え続ける猫には強い危機感を抱きました。そこで、地元で地域猫活動を行う方に相談し、TNR(トラップ=捕獲、ニューター=不妊・去勢、リターン=元の場所に戻す)活動を進めた結果、現在では猫の数が徐々に減少し、猫と人との共生環境が整ってきていると実感しています。
野良猫への餌やりは善意によるものであっても、不妊去勢が伴わなければ繁殖を促し、結果的に地域のトラブルを拡大させる可能性があります。
今回は、こうした背景をふまえ、美作市の現状認識や支援体制について質問を行いました。
【質問1】
- ・飼い主のいない猫に対する対応状況と課題認識について
- ・地域猫の概数、分布、苦情件数などの把握状況とその分析
- ・地域猫活動における課題(資金面、住民間の認識差など)
【執行部からの回答】
「飼い主のいない猫」への対応状況ついて、糞尿による悪臭や鳴き声による騒音など、年に10件程度の相談を受けているが概数や分布については十分に把握できていない。地域猫活動の課題としては、費用面の負担や住民間の合意形成、ボランティア不足、餌やりルールの徹底などあるが、中でも繁殖を防ぐための不妊去勢手術等の費用確保が最も大きな課題だと考えている。
【質問2】
- ・地域猫活動への支援制度の継続および拡充の可能性について
- ・補助金予算が上限に達している現状への見解と次年度以降の方針
- ・消耗品・啓発費・拠点整備費など補助対象経費の拡大の可能性
【執行部からの回答】
今年度の地域猫活動支援補助金は、予算の60万円が5月8日時点で早期に予算枠に達し、受付を終了した。これは地域猫問題への関心の高さを示すものと受け止めており、来年度予算での拡充は検討課題であると考えている。今年度は、公益財団法人どうぶつ基金による不妊去勢手術の無料チケットを行政枠で申請し、案内をさせていただく予定としている。補助金は開始したばかりなので、補正予算での対応は考えていないが、今年度は無料チケット等を活用し、活動団体の増加見込などを考慮しながら、来年度予算に向けて補助制度の見直し等について検討していきたい。
【質問3】
- ・啓発活動やマナー向上の取り組み強化について
- ・遺棄行為が犯罪であることの周知や、適切な餌やり・糞尿処理の啓発策
- ・地域猫活動への理解を深め協力者を増やすための取り組みについて
【執行部からの回答】
猫の遺棄が犯罪であることの周知や、地域猫活動の理解促進を目的とした啓発活動は継続して行っていく。市報やホームページ、地域イベントなどを活用し、マナー向上に努めるとともに、地域の協力体制づくりにも注力していく。
【質問4】
- ・費用負担軽減への考え方について
- ・どうぶつ基金の不妊去勢チケット活用支援への対応
- ・猫保護器の貸出状況と、貸出台数の増加検討について
【執行部からの回答】
現在、猫保護器は3台を保有し全て貸出中であり、需要が高い状況を認識している。令和7年度内に7台の追加購入を予定しており、合計10台の保護器の貸し出し体制で、安全で円滑な保護活動支援につなげたい。どうぶつ基金のチケット活用についても、速やかな情報提供を進めていく。
【総括】
今回の質問を通じて、地域猫活動への関心が市民の間で高まっていること、そして市としても支援の必要性を認識していることが明らかになりました。
特に、支援補助金については、年度初期での予算上限到達という状況を踏まえ、来年度予算での増額に加え、ボランティア活動団体の増加が見込まれることを考慮し、必要に応じて今年度中の補正予算での対応を要望します。また、保護器については本年度中に7台の増設を予定していただけるとのことで、これにより活動がさらに円滑に進むことを期待します。
市が関係団体や地域住民の声に丁寧に耳を傾けながら施策を進めていくことは、人と動物の共生を目指す地域づくりにとって非常に重要なことだと思います。地域猫活動のために身銭を切って活動をされている方々のためにも、今後も継続的な支援と、啓発活動を通じた住民理解の促進をお願いしたいと思います。